グルメに酔う大韓民国
大人気!クック番(Cook + 番組)とシェフテイナー(chef + entertainer)
2015年大韓民国のトレンドを代表するキーワードの一つとして食べ物/料理がある。全国の美味しい店を紹介する「テイスティーロード」、料理初心者の男性芸能人に「お家ご飯」の作り方を教える「お家ご飯ぺク先生」、有名シェフが芸能人の冷蔵庫の中に入っているものだけで決まった時間内に料理を完成し、冷蔵庫の持ち主が勝者を決める料理対決番組「冷蔵庫をお願い」など料理番組が人気を集めている。
これらを通じて多くのスターシェフがメディアに紹介され、「シェフテイナー(chef + entertainer)」として地上波やケーブルチャンネルの料理番組はもちろんバラエティ番組にも出演している。このような料理ブームに合わせ、料理の味を楽しむ人々はテレビ番組で紹介された店で何時間も並び、料理の写真を撮って感想と共にFacebookやInstagramなどのSNS(Social Network Service)にアップしている。SNSの波及力もあり、このような現象はさらに広まっている。
流通サービス業界の食品・飲料コーナーの変化
流通サービス業界では、集客効果を最大化するために、既存の枠を離れた新たな食品・食料コーナーを試みている。人々はもう洋服ではなく、美味しいものをショッピングするためにデパートに行くと言っても過言ではないほど、グルメというトレンドがデパートに大きな変化をもたらしている。ショッピングモールも全国のグルメ店を招致するためにフードコートの再整備に力を入れている。
2015年8月にオープンした現代(ヒョンダイ)デパート板橋(パンギョ)店は流通店の「グルメ招致戦争」が最高潮になることに大きな役割を果たした。韓国最大規模(およそ2万㎡)のプレミアム食品館には108ヶ所の食品・飲料ブランドが入店し、規模に負けない多彩な食べ物で顧客を誘っている。ここには韓国国内の有名な店だけでなく海外の有名グルメブランドも入店している。海外旅行や語学研修などで外国の食べ物に慣れている人が増えるにつれ、「Magnolia」「JOE AND THE JUICE」「Salon de Mon Chou Chou」「Pierre Hermé」など多様な海外の有名グルメブランドの入店が、デパートを訪れる顧客の舌を「満足」させるだけでなくデパートに顧客を「流入」させる重要な媒体となっている。
アメリカのドラマ「Sex and the City」の登場人物が店でおしゃべりしながら食べていた「Magnolia」のカップケーキを味わうために殺到する人々。カップケーキ1つを購入するためには平均2時間並ばないと購入できないという。代表メニューのバナナプディングやレッドベルベットケーキは1人当たり1個に販売数が制限されるなど、そのブランド力の強さを証明している。
新しい形のフードコートの出現
デパートだけではなく、複合ショッピングモールもグルメが顧客招致を牽引するということから、多様なグルメブランドを入店させている。
ソウルの大きなショッピングモール「Times Square」の「OVER THE DISH」では韓国全域の人気グルメを一ヶ所で体験できる。外食産業のセレクトショップとも言えるセレクトダイニングショップ、時間と費用をかけて地方まで移動しなくても有名な料理が簡単に食べられるということで大きな反響を呼んでいる。このようなグルメブランドの影響力を証明するように「Times Square」の2015年上半期の売上は前年対比41%増加したという。
まとめ
不況の流れが激しくなればなるほど、顧客は自分のための小さな満足を求めグルメにハマるという。多くの人々が2016年の経済状況を否定的に予想している中、このようなグルメブームは当分収まりそうにない。
February 1, 2016 by Tokyo